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(みつばちプロジェクト)
 削り節をつくる 〜「本枯れ鰹節」を使って〜 (完成まで…がんばり次第)
みみよりアーカイブ > つくり方>削り節をつくる

 2004年〜2012年の記事です。内容が古くなっている場合がありますのでご注意下さい。

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作り方(削り方)

 押し削り(基本の削り方)
    1.刃が、雑誌の紙1~2枚程度、左右均等に出ているか確認します。
    2.かつお節の尾の方(皮がついている方)を握ります。
    3.尾の方から頭の方に向かって削る向きにして、押して削ります。

     


1. 押して削ります。
(刃は自分に向いて
います:この写真では右)

→  


2. 繰り返し、押し削ります。

    


 引き削り(力が弱い方が削るとき、かつお節が小さくなったときなど)
    1.押し削りのときとは、自分の体の位置を逆にするか、あるいは、削り器
     を逆に置きます。
    2.押し削りと同様、尾を握り、尾の方から頭の方に向かって削る向きにし
     て、引いて削ります。

     


1. 手前に引いて削ります。
(刃は、自分とは反対方向を
向いています:この写真では右)

→  


2. 繰り返し、引いて削ります。

    

削り方のポイント

 順目と逆目
カツオの尾の方から頭の方へ削るのが順目です。かつお節の、皮が残っている方の端が尾になります。(尾がどちらかわかるように、かつお節を作る過程で、わざわざ尾の方だけ皮を残してあるのです。)
押す場合でも、引く場合でも、この方向に気をつけることが上手に削るポイントとなります。

握り方は自己流でも、順目という点だけに気をつければOK、ともいえます。
逆目で削ると、粉になったりして、うまく削れません。

 強引に削る
初めは、こわごわ削り、うまく削れないということになりがちですが、多少引っかかっても、勢いをつけ、強引に削っているうちに、うまく削れるときの感触がつかめるようになります。もちろん、順目にだけは気をつけてください。

 本枯れ節は、長~くは削れません
当店取り扱いのかつお節は、本枯れ節といって、最も固いかつお節です。その特徴ゆえ、スーパーで売っている花かつおのように、長~くは、削れません。長くても3~4cmです。逆にいえば、それが、本物の本枯れ節のあかしです。

手づくりのお値段

 40g:230円
当店では、本枯れ節の2本セットで2300円です。
1本あたり平均200g(あくまで平均です)として、本枯れ節2本で、400g。その値段が2300円になります。
つまり、40gで230円。

一方、やはり当店扱いの削りパックが、5g×8袋で320円です。
つまり、40gで320円。

本枯れ節を全部削ることができないにしても、本枯れ節をせっせと削った方がお得です。だいたいの比較ですが。
そして何より、削りたての価値はお金に換算できません。

“てま”と“ひま”の問題は、家の中で、老若男女問わず、空いている“手”を探して解消しましょう。ただし、猫の手だけはやめておいた方が無難です。

削り節の利用法

 だし
かつお節を削って、どうするか。…当然、まずは、だし。
だしの取り方は、数ある料理本にいろいろ出ていますから、それらを参考にして頂けばよろしいかと思いますが、当店扱いのかつお節を製造している、西伊豆のカネサ鰹節商店の芹沢さんオススメのだしの取り方をご紹介します。

1度沸騰させて、火を止めたところに、分量の削り節を入れ(4人前で20g位)、削り節が鍋の底に沈んでから2~3分して、取り出します。あるいは、漉します。この方法が、「いちばん渋みも酸味も出ません」とのことです。
お試しください。

 卓上削り器
卓上とするには、少し図体が大きいかもしれませんが、削り器をテーブルの上にどんと置いておくのはいかがでしょうか。

おひたしを食べるときにシャカシャカ。
お好み焼きを食べるときにシャカシャカ。
炊きたてのホカホカごはんにシャカシャカ。
和風パスタにだっていけるぞ。シャカシャカ。

これをぜいたくと考えるか、面倒くさいと考えるか。

ヨーロッパでおろしたてのチーズを楽しむなら、日本では、削りたてのかつお節を堪能しようではありませんか。

かつお節の博物誌

 雄節と雌節
かつお節には雄節と雌節があります。
カツオの背側の身をかつお節にしたものが雄節で、腹側の身をかつお節にしたのが雌節です。

腹側の方が脂が多いので、濃い味のだしが取れるのは雌節、澄んだだしが取れるのは雄節、といった特徴があります。
ただ、高級料亭でもないかぎり、わざわざ使い分けるほどの、明快な違いはないと思います。

 かつお節の製造工程
西伊豆の田子でかつお節を作り続けている、カネサ鰹節商店さんの、生カツオからかつお節ができるまでの工程を、おおまかにですがご紹介します。
1.解体作業
カツオの頭や内蔵などを取り除いた後、三枚に卸します。小型のカツオからは2本の身しか取らず、亀節と呼ばれるものになりますが、本枯れ節にするには、さらに身割りをし、カツオ1尾から、4本(雄節、雌節各2本)の身を取ります。
  
2.煮熟(しゃじゅく)
沸騰しないようにしながら、釜で約2時間、カツオの身を煮込みます。一般に、煮込んだこの段階のものを「生利節」(なまりぶし)と呼びます。
  
3.骨抜きとモミ(修繕作業)
小さな骨を1本1本抜いていきます。骨を抜いたところはキズになるので、これをモミ(カツオのすり身)で埋めていきます。非常に手間のかかる作業で、この工程を省くところも多くなっています。

4.手火山式焙乾(てびやましきばいかん)
クヌギやナラ、サクラといった、地元の木を薪として使い、かつお節を燻し、乾燥させます。穴を掘った炉で、強い火によって燻す手火山式焙乾は、伊豆の田子に継承されている伝統的な方法で、他の地域ではほとんど残っていないとのことです。今は、ガスを使って燻すところが多くなっています。
焙乾は、かつお節の味を決める、重要な工程です。この強い火によって、甘みのある濃い味のかつお節が生まれるのです。

焙乾した節を「荒節」と呼びます。

5.荒節削り
節の表面に付着しているタール分を削り取り、かつお節の形を整えます。「仕上げ節」になります。

6.発酵作業
日に干した「仕上げ節」に発酵菌を吹き付け、樽詰めします。20~25日で、青カビと呼ばれる1番カビが付きます。

7.天日干し作業
発酵、天日干し、樽詰めの作業を、7番カビまで繰り返し行います。このカビによって、かつお節の水分が取り除かれ、長期保存が可能になります。また、風味豊かな味を醸し出します。
「本枯れ節」の完成まで、6ヶ月以上の時間を要します。

 かつお節の工程段階におけるさまざまな製品
    (下へ行くほど、手間と時間がかかります)

・荒節
焙乾後の製品。かつお節としては半製品ですが、花かつおなどは、この荒節を削って作られることが多くなっています。

・裸節
荒節の表面を削ったもの。西日本各地では、この状態のまま、製品として流通することも多いようです。

・上枯節
カビ付けは3番まで。
土佐節や薩摩節の、関西方面へ向けた製品として誕生しました。

・本枯れ節
上枯節で完成とせず、さらにカビ付けを6~8回行い、さらに強固に仕上げたものです。味、香り、ともに深みと甘みがあります。

 本枯れ節は伊豆で生まれた!
数あるかつお節の中で最もカビ付けの回数が多く、手間と時間のかかる本枯れ節ですが、この本枯れ節、どうやら、伊豆で生まれたようです。

江戸時代、最初に活発だった流通ルートは、薩摩や土佐から大坂へ、船で送るというものでした。海を渡りますから、波しぶきをかぶり、図らずも、かつお節にカビがふきます。
困ったなと思いつつ、よく観察すると、カビにも善悪があり、青カビが付いてから日光で乾くと、そのあとに悪いカビが付かないということがわかりました。

そこで、まずは、1回だけカビ付けを行う、1番枯節の生産が始まります。それにともない、流通も活発になります。

時代が進むにつれ、江戸へも輸送するようになりました。薩摩や土佐からだと、大坂までよりさらに遠い距離を海上輸送することになります。
1回カビを付けただけの1番枯節では、またカビがふいてしまうのでした。

江戸の鰹節問屋は、カビがふいてしまったかつお節を、渋々受け取ったことでしょう。そして、仕方なく、船中で付いたカビをふき取って保管していたのです。

しかし、しばらくして保管してあったかつお節を見ると、またカビがふいています。そこで、またまた仕方なくカビをふき取って、販売していました。

ところが、です。何度もカビをふき取ったかつお節は、生臭さがへり、味も良くなっていることに気がついたのです!

そこで、江戸の鰹節問屋は、もともとつきあいのあった伊豆に、何度もカビを付けるという新しい製法で作ってくれるよう要求しました。伊豆では、当時、土佐からかつお節の製法が伝わっていました。
伊豆はこの要求に取り組み、そして、ついに、それまでの土佐のかつお節とは違った、独特の伊豆節を作り出したのです。

明治40年代には、この伊豆節が基本となり、カビ付け、発酵、天日干しを繰り返す、本枯れ節が生まれたのでした。

 ○かつお節のカビ
食べ物に付いている“カビ”と聞くと、身を引いてしまう人も多いかもしれませんが、チーズを作っているのもカビ。シェリー酒の風味を生み出しているのもカビ。
古今東西、食べ物とカビは、切っても切れない関係にあるといえます。
もちろん、善玉もいれば、悪玉もいます。

このカビは、善玉か悪玉か?
昔の人は、自分の命をかけて見極めてきたといえます。その昔の人の体を張った試行錯誤の結果、私たちは安心して美味しいものを頂けるのですから、ありがたいことです。

ところで、かつお節のカビ。10数種類はあるそうです。
よく、かつお節の表面に、びっしりと粉がふいたようにカビが付いているかつお節があります。なんとなく高級感があります。
本枯れ節は、カビを付けては落とし、またカビを付けては落とすことを6~8回繰り返しますが、当店扱いのかつお節を製造している、西伊豆のカネサ鰹節商店の芹沢さんによると、「カビ付けも6~7番目くらいになると、ほんのりカビを付けるように心がけています」とおっしゃっていました。その方が、本来のかつお節の姿だそうです。

さて、食べるときにどうするか。

かつお節の表面についているカビは、チーズの外側のカビの皮と同様に考えてよいようです。
チーズの外側の皮は、食べていいものかどうか迷うときも多いかと思いますが、“食べても害はないが、あえて食べるほどでもない”といったところではないでしょうか。

かつお節の表面のカビも同様です。かつお節を使い始めるとき、よくしぼった清潔なぬれ布巾などで、削る表面のカビをかるくふき取るとよいでしょう。

参考にした本:「鰹節考」(山本高一、筑摩業書307、1987年)
        「鰹節」(宮下章、法政大学出版局、2000年)

     

 

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