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(みつばちプロジェクト)
 和菜料理 テラ 〜シンプルな手間を惜しみなく〜
みみよりアーカイブ > Cafe&Restaurant >テラ

 「和菜料理 テラ」は現在、長期休業中です。

●テラならではの味わいと、その美味しさの理由

那須にある「和菜料理 テラ」を、2008年3月に再訪。
豆腐を柱に据えつつ、素材の大豆に始まり、湯葉、油揚げ、おからといったバリエーション豊かな豆腐文化に根差した様々なメニューで楽しませてくれます。

今回、手打ちうどん、揚げ物、湯葉、田楽、おからクッキーなどを頂きましたが、あらためて、「テラ」でしか出会えない味わいにあふれているということを、強烈に感じさせられました。

そしてその味わいには、明快な理由があります。
それは、手間をかけて手づくりしているからです。

料理を食べてくれる人をもてなそうと、心をこめて手間をかけるからこそ生まれる、味わいがあります。
既製品や機械で大量生産するのではなく、自らの手でつくるからこそ生まれる、味わいがあります。
手づくりしているからこそわかる、素材や副産物の利用法があります。そしてその利用法のツボを心得ているからこそ引き出せる、味わいがあります。

もうひとつ付け加えるならば、店主の吉原さんは、料理の素材選びの際、その素材を生み出している“人”も見ようとしています。オーガニックや無農薬という安全性だけではなく、どのような姿勢でその素材をつくっているのかという点まで見ようとしています。それは吉原さんの“最後は人だと思います。”という言葉に表われています。

複雑なことをするわけでもなく、高度な機械を使うわけでもなく、ただ、料理を食べてくれる人をもてなそうという姿勢から生まれてくる味わいが、すなわち美味しさになっています。

これほど信頼感のある美味しさには、なかなかめぐり会えません。

手前から、ゆず味噌田楽(豆腐)、湯葉、揚げ物(湯葉と野菜のチップス、おからコロッケなど)。単品で注文できるものもあります。

 

 

手間をかけた手づくりの料理の数々。もてなす心が生み出す美味しさにあふれています。

自家製の豆腐からつくった自家製のお揚げさんが、手打ちうどんの上にドン。

●「黄雲」…大きなお揚げさんが印象的な、テラ
      の手打ちうどん

国産小麦の手打ちうどんもさることながら、でっかいお揚げさんの美味しいこと。
それもそのはず、自家製豆腐からつくる自家製のお揚げさんなのです。
いったんすりつぶした豆腐を裏ごしして山芋と混ぜ、さらに、すり鉢でよくすった麻の実を加え、海苔にペーストを塗るようにつけ、揚げたもの。

素材となる豆腐が自家製の美味しい豆腐なわけですから、お揚げさんも美味しいわけです。
ここにも美味しさの明快な理由があります。

店主の吉原さん自身、このお揚げさんを揚げているときに、“これで一杯飲みたい…”とつくづく思うのだそうです。
このたっぷり厚みのあるお揚げさんだけを注文し、「テラ」おすすめの自然酒(日本酒)で一杯…。左党には至福のひと時となることでしょう。

希望すれば、ごはんを無料で付けてくれるのもうれしいところ。

この「黄雲」に限らず、“これだけ食べたい”“これを付けて欲しい”といった注文をしても、可能な限り、喜んで対応してもらえます。
むしろお客さんが「テラ」を上手に利用すると、「テラ」の良さがさらに引き出されるかもしれません。

●「豆福」(おからの蒸しケーキ)

「テラ」の自家製おから(大豆)、同じく「テラ」の自家製あんこ(小豆)、そして黒豆と、3種の豆が素材として使われているのが「豆福」。
おからの蒸しケーキと説明できるでしょうか。

豆腐が自家製なら、当然おからも自家製。そして肝心なのは、手絞りで煮大豆から豆乳を絞り出していること。
普通は、機械で絞り出すので、絞りかすにあたるおからは、本当にカスカスになってしまいます。
一方、手絞りだと、力に限界があるので、おからにも味わいと滋養が残るのです。しかも絞りたての新鮮なおからを使えるのです。
この美味しいおからと、七輪で小豆をコトコト炊いてつくるというあんこを使っているというのですから、美味しいわけです。

「豆福」のもつ味わいは、とてもやさしく、美味しさが口の中に溶けてゆくような感じです。お腹がすいていたら1ホール食べてしまいそう。
心からほっとできるスイーツです。

料理も甘味も、ごゆっくりどうぞ。

美味しい理由があります。「テラ」の自家製おからを使ったおからクッキー。

●「豆のやさしさ」(おからクッキー)

「豆福」と同様、「テラ」の自家製おからを使ったスイーツが、「豆のやさしさ」(おからクッキー)。
「豆福」と違うのは、おからをとことん煎って使っているところ。
この「豆のやさしさ」は奥さんの作。やはり料理人である奥さんのテーマが“やさしい心”ということで、吉原さんが名付けたそうです。

一口かじると、美味しさがふわっと口の中にひろがり、食べ終わると、味がすーっと引いていくという印象でした。食感はサクサク。
吉原さんは、「味は残らなくていい。美味しかったという“記憶”が残ればいい」とおっしゃいますが、まさにそのとおりの味わいに驚きました。さらに「美味しいコーヒーの味を邪魔しません」とも。
「テラ」ごひいき、「那須の珈琲工房」(「テラ」から車で約15分)の雑味のないコーヒーと「テラ」のおからクッキー。このような組合せを日々の暮らしの身近においておけたら、物の考え方すら変わりそうです。

世の中におからクッキーはたくさんありますが、美味しさが明快なおからに、料理人としての感性と技術、そして自然素材に対する経験の豊富さが相まって、唯一無二、「テラ」独自のおからクッキーに仕上がっています。


以下の記事の大部分は、2005年5月のものです。
●訪れた日の笑三彩(色々料理のごはんセット)

栃木県の那須方面にある、和食のお店、「和菜料理 テラ」の看板メニュー「笑三彩(しょうさんさい)」。
手づくり豆腐が中心のメニューです。
まずは、その内容をご覧下さい。

  先付  山独活の胡麻和合
      自家製の汲み上げ豆腐 紫芽
  揚げ物 揚げ出し豆腐 おろしあんがけ
      海老 ブロッコリー 忍生姜
  台の物 サヨリ一夜干し 酢取り茗荷
      筍のつくだ煮
      豆腐の木ノ芽みそ田楽
      ふきの土佐煮
      さつまいも蜜煮
      隠元 スナックえんどう
  味噌汁 間引き蕪と薄揚げ 人参の味噌汁
      粉山椒
  ご飯  玄米(もち麦入り) 胡麻塩
  香の物 春キャベツの浅漬け
       (ラディッシュ入り)
      蕪と人参のぬか漬け  
      ヤーコンたまり漬
  水菓子 (栃木)苺 (和歌山)セミノール

普段は、分けて運んできてくれるそうです。
ごはんは白米か玄米を選べます。

メニューの種類としては多くありませんが、厳選され、充実した食事、喫茶、お酒を楽しめます。

●一軒家で食事と喫茶のおもてなし
           (栃木県那須塩原市)

JR黒磯駅は、東北新幹線の那須塩原駅のひとつ隣りで、古くから那須への玄関口です。その市街から、那須の山々へ向かって、真っすぐに、ゆるやかに上って行く板室街道。
その板室街道を上り始め、黒磯駅を起点にすると2kmくらいの地点でしょうか、少し左に入ったところに「テラ」はあります。

住宅として使われていた一軒家に、こつこつと手を入れて、2004年の7月に仮オープン。10月から本格的に営業を開始しました。
知人の家を訪ねるような感覚で、お店を探し当てて下さい。

お店の中に入ると、手前に洋室が、奥に和室があります。どちらでも、好みの席でくつろぐことができます。

オーナーで店主である吉原さんは「1組のお客さんに1時間半くらいかけてゆっくりおもてなしをしたいので、ぜひゆっくりしていって下さい」と話してくれました。

●素材以前の手間

「どういうところに手間をかけるか、に重点を置きたい」と吉原さんは言います。

その素材以前の手間のかけ方に驚きました。

まずは水。車で片道40分ほどの山まで、天然水を汲みに行きます。
そして火。すべての調理に用いるわけではありませんが、炊く、煮る、焼く、沸かすとき…、七輪と炭火を使います。

もちろん料理においても、惜しみなく手間をかけた手づくりのおもてなしがいっぱいです。
最近は、豆腐がメニューの主役になりつつあるそうですが、汲み上げ豆腐をはじめ、揚げ出し豆腐、うどんの上にのせられる大きなふわふわお揚げも手づくり。

白米と、夏の玄米は土鍋で炊きます。うどんは国産小麦粉で手打ち。漬物も自家製。
ご夫婦、おふたりとも料理人とはいえ、よくここまでできるものです。
吉原さんいわく、「手間とは自分に納得のいく仕事を求めると自然とかかってしまうもの。ましてそれが好きでなかったら、なおさらできない」。

●できるだけ地元の食材を、安全な食材を

ある日、店の仕事を終え、ご夫婦で、自分たちの食卓の食材をしげしげとながめ、“これは実家の米、これは去年漬けた梅干し、これは取ってきて煮た筍、これは庭の畑の間引きな菜、これは…”と、ひとつひとつ食材を指で差していくと、買ってきたものはほとんどなかったとか。

「テラ」で出す食事の食材をすべて自給することは無理でも、できるだけ、地元の食材、安全な食材、顔の見える生産者の方がつくる食材を扱いたいとのこと。

同じ県内で田畑を耕作する奥さんの実家からは、さまざまな新鮮な食材が手に入ります。また、那須の自然の恵みを頂いたり、知り合いの自然食品店から有機農法の大豆を取り寄せたり、縁のできた沖縄からカツオ節を送ってもらったりと、身近なものを最大限、利用しています。

ただ、「現時点では、お店で出すものを地元のものや安全なものだけで完璧にそろえることはできないから、声高にはうたわない」と言います。けれども、お客としては、今のままでも十分うれしい。
もちろん、春の山菜や夏の鮎など、旬の楽しさも見逃せません。

今後は、庭にある小さな畑も、もう少し手を入れて、少しずつでもメニューに反映していきたいと考えているそうです。

●洋の楽しみ ~ホットサンド&コーヒー ~

「テラ」では、ごはんセット以外に、和洋問わず、美味しいものを楽しむことができます。

まずはホットサンドのご紹介。
自家製の、スモークチキンとトマトソース。これにチーズがたっぷり加わります。素材の種類はシンプルなのに奥深い味。これも、かけるべきところにかけた手間がなせる技なのでしょうか。
美味しさの余韻までもじっくり味わいたい…。

「パンの耳が付いてこそ、ホットサンドの醍醐味」と、パンの耳もしっかりついたまま、力強くプレスされています。

ホットサンドを食べたら、やはりコーヒーが欲しくなります。

コーヒー豆は、那須にある自家焙煎コーヒー店のものを使用。そこのオーナーとは、食やその他の面でも共感できる部分が多いようです。
「ここのコーヒーを初めて飲んだとき、細胞にしみわたっていく感じを受けたんです」と話されるように、雑味がなく、やすらぐような味わいでした。

うれいしことに、ホットサンドにセットメニューができました。別名、麻サ実(マサミ)セット。フルーツとコーヒーが付きます。

少々武骨なホットサンドですが、美味しさがギュッとプレスされています。
→現在、麻の実を使って、さらに美味しさの厚みが増しました。

ゆっくりゆっくりと、味わい尽くしたい、全粒小豆のおしるこ。

●和の楽しみ ~おしるこ~

おしるこも、他では味わえない一品です。
全粒小豆のおしるこということですが、“見た目と舌ざわりはこしあん、味わいはつぶあんのおしるこ”、とでもいうべきもの。

普通、こしあんは、小豆の皮などが取り除かれるため、小豆の粒の一部分しか、あんこになりません。つまり、小豆の風味も一部分しか生かされません。

だからこそ、小豆の粒をまるごと生かし切るための全粒小豆のあんこ。
作り方は、炊いた小豆をひたすら摺り鉢で摺ったら、裏ごしします。
すると、やはり皮が残ります。その皮だけを集めて、さらに摺って、なめらかなあんこにするのだそうです。
気が遠くなりそうですが、舌ざわりと味わいを両立させるための手間。
小豆を、七輪と炭を用いて、土鍋で炊く…。これだけでもオドロキなのですが。

ガス火より、炭火の方が優しく火が入り、あんこがほっくり仕上がるのだそうです。

そして、おしるこのお椀の中で顔を半分のぞかせているおもち。炭火で、いい焼き目がついています。
このおもちは、杵でついた自家製のおもち。

●「テラ」に至るまで

吉原さんは、以前、東京の自然食品店で働きながら、マクロビオティック料理を料理教室で学び、師範の資格を得ました。マクロビオティック料理は、魚や肉、卵、乳製品などの動物性の食材は使用しません。
その後6年間修行した先の料理長との出会いが、料理に対しての世界を広めました。調理場では先輩だったという奥さんとも、そこで出会ったそうです。

そして、現在の「テラ」となる物件を得て、独立、開店に至りました。

なお、このような経験を積まれているので、あらかじめ予約をすれば、精進料理でも、マクロビオティック料理でも、喜んで対応してもらえます。

●食文化を伝えていきたい

「放っておけば、どんどん日本の食文化がなくなってしまう。…何より、食文化を伝えていきたい」と語る吉原さん。「テラ」もその想いの延長線上にあるようです。だからこその“手間”なのでしょう。

なじみのお客さんの9才の娘さんが、“お誕生日に何食べたい?”と聞かれて、「テラの豆腐が食べたい!」と答えたとか。これを聞いた吉原さん、感激したそうです。
9才の子どもが、スパゲッティでもなく、ケーキでもなく、テラの豆腐を希望するとは…。
“食文化を伝えるというと、とかく難しく考えがちだけれど、子どもに「豆腐が食べたい!」と言ってもらえれば、もう、それで十分なのかな”と思ったそうです。

最終的には百姓がやりたいとおっしゃいますが、今後、どのように活躍されていくのか、とても楽しみです。

その後、「テラ」から「和菜料理 テラ」と名前を変え、また、新たな味わいを提供してくれることになりました。
和菜料理の“和”には、愛と調和の意味が込められています。

店主の吉原さん。その誠実な人柄が、料理にも表れています。

     

 

 「和菜料理 テラ」は現在、長期休業中です。

 

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