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 ひしおの糀 〜ひしお味噌をつくる〜
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商品について  作り方  作り方のポイント  ひしお味噌の利用法
 
  ひしお味噌のある風景  ひしお味噌の博物誌
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商品について

美味しい「ひしお味噌」(なめ味噌の一種)が、本当にカンタンに作れます。普通の味噌なら、仕込んでから食べるまでに半年以上かかりますが、これなら4〜7日で食べられます。しかも、この「ひしおの糀」を醤油と水などと混ぜて、あとは1日1回かき混ぜるだけです。ひしお味噌ができてしまえば、あとはかき混ぜる必要はありません。ぬか床のような手入れは一切不要。
できあがっても、容器を移し替えることなく、仕込んだ容器に入れっぱなしでの常温保存が可能です。これは便利。(暑い時期や、長期保存の場合は、冷蔵保存した方がいい場合もあります)

今でこそ「ひしお味噌」はあまり知られていませんが、昔から食べられてきた日本の伝統的な食品です。一方で、アイデア次第で、現代の料理に利用してもたいへん面白い食品ともいえましょう。その潜在能力たるや、想像以上です。

手づくりの特権で、生姜を入れたり、さまざまな味のバリエーションを楽しめます、原材料に用いる醤油や塩に、お気に入りの商品を使うこともできます。
ぜひ、「ひしお味噌」の手前味噌をお楽しみください。

 
作り方 
 
 
分量(白こうじ菌に変わり、醤油と水の割合が少し変わりました)
     
・ひしおの糀:550g
     ・醤油:600cc
     ・水:300cc


 
用意するもの
     
・かめなどの容器(2リットル以上入るもの)
     ・醤油(けっこう量が必要なので注意)

 手順
1. 容器にひしおの糀を1袋(550g)全部あける。 2. そこに、醤油600ccと水300ccを入れる。 3. 清潔な菜箸やしゃもじなどで、かき回す。
4. 2日目
1日1回以上、かき回す。
5. 3日目
1日1回以上、かき回す。
6. 4日目
このくらいから、そろそろ食べられます。このまま常温保存可能。
 
作り方のポイント

 
清潔な容器と道具を使う
作り方のポイントといっても、清潔な容器と道具を使うことくらいでしょうか。難しいことは何もありません。

 
食べごろ
仕込んでから1週間目くらいが食べごろの目安ですが、発酵の状態によっては、4日目くらいでもじゅうぶん食べられます。
熟成が若いうちに食べるとまだ大豆らしさが残っていたり、しばらくすると、だんだん味噌がこなれていったりと、味や食感の変化も楽しめます。

 
ひしお味噌の利用法

 
ひしお味噌って、ソース?
普通、ひしお味噌の食べ方といえば、ごはんの上にのせたり、きゅうりにつけたり…というのが一般的な使い方。
しかし、ひしお味噌の潜在能力はそんなものではありません。

ひしお味噌というのは、要は、甘めの“味噌だれ”みたいなもの。いうなれば、和風ソース。ひしお味噌は“MISOソース”であると考えることができ、もっともっと、いろいろな料理に使っていただきたい、万能調味料なのです。

ひしお味噌のミソは、そのタレ状の柔らかさと自然な甘さにあるといえます。普通の味噌だと、料理に使うには固すぎて使いにくく、辛すぎる。ひしお味噌は、適度に水分があるのでタレのように使うことができ、しかも、そのままなめてもおいしい甘さを備えています。その甘さは砂糖の甘さではなく、麹による自然な甘さです。砂糖を使った場合と比べれば、断然後味がよく、いうまでもなく健康にもいい。その差は非常に大きいといえます。

和風料理はもちろん、カツに、サラダに、サンドイッチに…。
ゴマペーストなど、他のペースト状のものと混ぜたり、刻みネギと和えたり…。
うわさによると、そば粉のクレープや、アボカド、チーズなどとの相性も抜群だとか…。
んー、たまりません。


 
さらなる展開
ひしお味噌の利用はソースにとどまりません。漬け床にしても最高。野菜を漬けたり、だしに使ったあとの昆布を漬けたり。

そして、漬け床に使って水分が多くなったものは、適当に具を入れて、少し水を足して、即席味噌汁にどうぞ。少々甘めの味噌汁ですが、ほとんど温めるだけでできてしまう簡単さ。おまけに、漬けた野菜の旨味も加わっています。

納豆のタレとしても使えます。大豆からできたもの同士。相性が悪いわけがありません。
納豆のおまけについてくる、添加物いっぱいのタレを使うより、はるかにいい。


 
オリジナルな味
ひしお味噌自体の味のバリエーションも楽しめます。
これが手づくりの良さ。仕込むときに“水の代わりにみりんを使ったらどうだろう?”など、いろいろ遊ぶことができます。
商品の袋にも書いてあるように、香辛料、ゴマ、生姜、野菜、乾魚、甘酒、みりん、蜂蜜などを入れたり、昆布、ニンニク、ハーブなどなど、その他、思いつくまま入れてしまいましょう。醤油の代わりに、しょっつるやニョクマムを使うという手も…。

コレという味を発見したときの喜びはたまりませんよね。
ぜひ、“わが家の味”を作り出してください。
 

ひしお味噌のある風景(仮想エッセイ)

彼は、和もの洋もの問わず、甘いものに目がない。
朝のコーヒーとともにクッキー。10時にもお菓子の袋をガサゴソ。昼ごはんの後に、妻がもらってきた温泉まんじゅうを2つ。「最近のまんじゅうは小さくなったなあ」とつぶやきながらペロリ。外に出かけない日には、当然、3時にしっかりおやつ。今日は、デパートの物産展で買ってきたらしい山形県のラスク。晩ごはんの後には、“そんな所にもあったのか”という戸棚から出してきたお菓子の小箱を手にしている。

こんな彼が、ひしお味噌に出会ってはまってしまった。出会いというよりは、彼の年代だと、懐かしさをともなう再会だった。
最近は「ひしお味噌に白いごはんがあればいい」というのが口ぐせ。
とはいうものの、食卓には、普通に、おかずが数品並ぶ。
これらのおかずに、また、ひしお味噌をかけるのだ。まるで、子どもが何にでもマヨネーズをかけるように。
“味噌の甘みは、砂糖と違って、こうじの甘みだから体にいいんだ”と彼は確信している。そのわりには、砂糖たっぷりのお菓子を始終食べているのだが。

食事の仕上げは、納豆にひしお味噌。まず、納豆に何も加えないで、納豆専用鉢でかきまぜる。パックに付いているタレなんぞには見向きをせず、ひしお味噌をたっぷりかける。さらにかき混ぜ、ねばりを確かめ、ごはんにはかけず、そのまま一気にかきこむ。最後に、茶わんに残しておいた一口のごはんを口に運び、晩ごはんが終了する。

彼の家の台所には、ひしお味噌を仕込んであるかめが、常時2つある。
 
ひしお味噌の博物誌

 
「ひしお」って何?
「ひしお」といった場合、現代では、「ひしお味噌」を指すことが多いようです。
ちょっと高級なスーパーの冷蔵ケースや、地方産品を扱うお店などでは、「ひしお」と銘打った商品が並んでいることがあります。この場合、「ひしお」=「ひしお味噌」です。
ジオライフで販売している、この「ひしおの糀(はな)」も、「ひしお味噌」を作るための糀(こうじ)です。

ところが、古くは、味噌や醤油などの発酵調味料の原型といえるものを「醤(ひしお)」と呼びました。日本の場合、奈良時代には「醤」の記述が見られます。
醤から発展していったことを考えれば、今の味噌や醤油、ひしお味噌を含め、みんな醤の一種といえるのかもしれません。
中国の豆板醤(トウバンジャン)、韓国の辛子醤(コチュジャン)なども今に伝わる醤です。中国でも韓国でも、非常に多くの種類の醤(ジャン)が使われています。

特殊な例では、醤油の商品名で「ひしほ」というものがあります。


 
ひしお味噌について
「ひしお味噌」は、白いごはんにのせて食べるような、なめ味噌の一種です。その形態は、醤油を搾る前の「もろみ」に似ているとされています。(「もろみ」とは、醤油でも酒でも、麹や塩水などの原料を混ぜ合わせた後の工程となる、熟成期間中の、ドロドロした状態のものです。「もろみ」が熟成すれば、あとは搾って、火入れするなどして澄んだ液体の製品となります。)
その作り方は、本によっても書いてあることが違うのですが、大ざっぱにいうと、炒り大豆と水に浸した麦(小麦か裸麦)を混ぜたものを、蒸してから麹菌を植え付け、麹をつくり、半年から一年熟成させて作るもの、といえそうです。原材料から考えると、今の味噌よりは、醤油に近い感じです。
なお、時代としては、味噌が作られたのが先で、醤油が後です。

「ひしお味噌」が一般的な味噌とどこが違うかといえば、大豆を炒る点、麦を使う点です。麦味噌というものもありますが、麦味噌では、麹菌を麦に植え付けて麦麹をつくってから大豆と混ぜ合わせ、主原料の大豆を発酵させていきますが、「ひしお味噌」の場合、大豆も麦も混ぜたものに、麹菌を植え付け、麹にする点が違います。
一般の味噌づくりでは、大豆を炒ることもしません。

では、似ているというものの、醤油とはどう違うのでしょうか?
一般的な濃口醤油は、蒸した大豆に炒った小麦と種麹を加え、麹をつくり、さらに食塩水と混ぜてもろみをつくり、熟成させて醤油になります。
したがって、「ひしお味噌」の醤油と違う点は、小麦ではなく大豆を炒る点、液体の食塩水ではなく、塩を用いる点となるでしょうか。
ただし、醤油の中でも、「ひしお味噌」と親戚の「金山寺(径山寺)味噌」にヒントを得てつくられたという白醤油は、「ひしお味噌」と同様、炒るのは大豆の方です。

こうなると、似ているとされている「金山寺味噌」と「ひしお味噌」の違いが気になります。違いは何なのでしょうか。「金山寺味噌」は、製法は「ひしお味噌」と似ていますが、ナスやウリなど、野菜が混ぜ合わされ、その量が多いことが違う点であると、ものの本に書いてあります。
しかし、「ひしお味噌」として売られている商品の中でも、野菜が入っているものがあり、話がややこしくなります。

また、「金山寺味噌」は、鎌倉時代に覚心という禅僧が、留学先の中国の宋にある径山寺から製法を持ち帰り、紀州の湯浅に伝えたものとされています。その製造の過程でできる汁のおいしさが、現代の醤油作りの起源になったという説が一般的です。


 
「醤(ひしお)」について
味噌、醤油のもとになった醤には、魚醤、肉醤、穀醤、豆醤、草醤など、多くの種類に分けることができます。
醤の起源は東南アジアの魚醤がもとになり、広まっていったとされていますが、かなり古くから使われていた調味料で、中国においては紀元前から登場し、孔子が好んだという記録もあります。このころは、調味料というよりは、副食に近かったのではともいわれています。

大豆を使った味噌や醤油などの豆醤などより、魚を使った魚醤の方が、はるかに古くから作られたのには理由があります。
それは、魚などには、魚自身に発酵する酵素が含まれているのに対し、穀物や豆にはそのような酵素が含まれず、麹などによって発酵のための酵素を加えなければならないからです。要は、魚醤の方が簡単なのです。

したがって日本でも、古代に魚醤や肉醤が伝わり、日本書記や万葉集などにも魚醤や肉醤の記述が見られ、古くから広まっていたとされていますが、大豆を原料とした醤が主流になったのは、仏教伝来によって肉食が禁止された奈良時代以降なのではないかと考えられています。とはいえ、古い話なので、いつ、何をきっかけに魚醤や肉醤から豆醤などに変化していったかはわかっていません。

魚醤は、一部、秋田の「しょっつる」、石川の「いしる」、香川の「イカナゴしょうゆ」などに名残を留めますが、その後、塩辛やなれずしに変化していったといわれています。

参考にした本:「味噌・醤油入門」
        (海老根秀雄 広瀬義成 共著、日本食糧新聞社、1994年)
       「新・食品事典7 調味料」
        (河野友美編 真珠書院 1991年)
       「人間は何を食べてきたか 下 カレー、醤油」
        (NHK取材班 日本放送出版協会 1990年)
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